長編小説 バナナキラーの企み

土日は4000〜5000字ほど 平日は暇な日に1000〜2000字ほど 週3程度で投稿予定。 大体70話程度の構想。

バナナキラーの企み#3 パンタインの本気

(エピソード1より)

数十年前のある日。ゴリドウは大切な人を失った。

彼の子供。

大切な、唯一無二の宝。

ロオコポ軍の襲撃に遭ったのだ。

ゴリドウは悔やみ、ロオコポ軍団に復讐を誓った。

「ロオコポ軍団だけは、絶対に。『殺す』」

 

 

 

 

 

 

 

ゴリドウと佐藤は、パンタインと向き合う。

前回、ロオコポ軍団に襲撃を仕掛けることにしたおりおり達。しかし、おりおりドンキーは焼夷弾の回収と巨大戦艦撃破のための覚醒による極限の疲労により前線を離脱。ゴリドウと佐藤でアジトに突入し、パンタインと出くわした。

 

ゴリドウが叫ぶ。

「貴様ァ!なぜ生きている!」

「決まっている。私が強いからだ。」

「ふざけるなよォッ!」

佐藤が叫ぶ。それを合図に2人は攻撃を仕掛ける。それと同じタイミングで、パンタインも2人に向かって突進する。

 

ゴリドウがパンタインの腹にパンチを入れようとする。しかし、それは利用されてしまった。互いのスピードと槍のリーチを生かし、ゴリドウの心臓めがけて槍を刺す。

攻撃を躱した佐藤は、パンタインにワイパーソードをものすごい勢いで押しつける。

 

 

 

倒れたのは、ゴリドウだけだった。

ワイパーソードは、半分に裂けていた。なんとパンタインは、攻撃の瞬間にソードを槍で裂いていたのだ。何という技術だろうか。

「はっはっは。極道なんか所詮時代遅れ。そんな古臭いゴリラにこの私がやられるわけない。」

ゴリドウは、槍が心臓に直撃するのを間一髪免れたものの、彼の心臓近くに刺さってしまった。

「グハァァッ!」

ゴリドウは血を吐く。

「なーにが最高戦力だ。ひと突きじゃないか。」

パンタインはゴリドウを倒した。と、思っていた。

次の瞬間、パンタインは衝撃的な光景を目にすることになる。

なんと、ゴリドウが立ち上がっていたのだ。

「いいねぇ。久しぶりに痺れる戦いになりそうだわぁ。」

血を吐きながらそう言い放つ。彼は片肺を貫通されているのだ。そして尋常ではない量の出血。誰がどう見ても、ゴリドウは死の寸前だ。

「何。お前みたいなボロくさいジジィごときが何をできる。」

「俺はよぉ。昔っから決めていたんだ。ロオコポ軍団を壊滅させると。お前なんかに グハァ! 負けてらんないんだよ」

「何度やっても同じィ!串刺しにしてくれるワァァアッ!」

パンタインがゴリドウに槍を向け、再び突進する。

しかしその瞬間、ゴリドウの雰囲気が変わった。ゴリドウは極度の集中状態に突入しているのだ。

今のゴリドウには、他の全てがスローモーションに見える。攻撃をギリギリまで引きつける。

そして、当たる直前。

「ここだァァァァァァァァッ!」

ゴリドウが槍を下から弾き飛ばす。

「うをぉッ!」パンタインは思わず悲鳴をあげる。その瞬間を、ゴリドウが見逃すわけない。

「兄ちゃん、戦闘中に隙を見せちゃぁだめだ。」

ゴリドウは振り終わりで隙だらけのパンタインの懐をあっという間に侵略する。

「オリャア!ゴリナッコー!こっちは舎弟のヤンウッキーを殺られてるんじゃああああ!」

しかし、その攻撃がパンタインを傷つけることはなかった。

「何度も言っているだろう。私に二度と同じ攻撃が通用すると思うな。」

ゴリドウのパンチは重い。その分、1発の隙がデカい。

全力で振っている分、途中で回避することはほぼ不可能である。

「そろそろ死ねやア!ゴリドウ!」

次の瞬間。ゴリドウの顔面に蹴りが入る。

先が尖った針のようなものついた鉄の靴。ゴリドウの攻撃を再び利用する。

ゴリドウの顔面をその物体が貫く。

「な、ゴリドウ?!」

佐藤が驚く。あの無双極道ゴリドウが、手も足も出ず殺害されたのだ。

なぜ殺害と分かったか?それはゴリドウの頭部のほぼ全体が吹き飛んでいたからである。

その棘は、直径10cmはあるだろうか。それが刺さった後、パンタインは足を振り抜く。

明らかに生きているとは思えない。

 

佐藤の愛車の上に、何かが落ちてきた。

ゴリドウの左腕だ。

佐藤は激高する。「おらあああああああああああああああ!」

巨大ロボ、アクセル全開でパンタインに突っ込んでいく。しかし。

 

 

ジィヤシン!!

 

大きな鉄の塊が切断されたような音がした。パンタインはこの一瞬のうちに、武器を日本刀に持ち替えていた。しかも二刀流だ。「変形ロボカー」の腕は完全に切断されていた。だが、それだけでは止まらない。そのままパンタインを挽く!

 

だが相手はあのロオコポ軍団最高戦力のパンタイン。そう上手くいくわけない。

また一瞬のうちに「変形ロボカー」の両足と佐藤の左腕を切断していた。

「クソッ!」

佐藤は急いで止血作業に移る。

しかし、パンタインは佐藤に迫る。

「あれあれぇ?これで終わりかなぁ?」

佐藤はもう抵抗できない。死を覚悟しつつ、パンタインを睨みつける。

高く掲げられたその「武器」が振り下ろされる。

 

 

グシャァ!

 

倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンタインが。

後ろに立っていたのは。ダイヤモンドピッケルを振り下ろしたカンクンだった。

「佐藤、こっちに!」

パンタインの背中は、装甲を貫通して肉がかき回されていた。

「オリァア逃げるんじゃぁね"ぇ"よ"」

パンタインが佐藤の足を掴む。

「やめろ!」カンクンがパンタインに向かってダイヤモンドピッケルを再び振り下ろす。

しかし、パンタインは笑っている。

「ハハハ。君たちは本当に学ばないねぇ。私に二度と同じ攻撃が通用しないと言っているだろ"う"」そう言い終わると同時、日本刀を振り回す。

 

この一撃で、カンクンの両腕、佐藤の腹、ダイヤモンドピッケルの柄が切断された。

壊滅的な状況だ。

 

 

 

一方病室。

そこには疲れ果てたおりおりドンキーがいた。

「僕が行かないと。僕があいつを倒すんだ。」おりおりドンキーはパンタインを倒そうとする。しかし、医師がそれを許すはずがない。なぜなら、今おりおりドンキーが行っても無駄死にするだけというのは、誰が見ても一目瞭然だったからだ。

 

しかし、おりおりドンキーは短時間で、驚異的な回復を果たす。

腕の青ネクタイが発光する。

「やっぱり行ってくる。」

おりおりドンキーが病室から、半ば強引に抜け出す。

 

そして、敵の仮設前哨基地にたどり着く。

そこで、おりおりドンキーは衝撃的な光景を目にする。

バラバラになっている佐藤、カンクン、ゴリドウ、そして「変形ロボカー」。

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

おりおりドンキーは、かつてないほどの苦しみを味わっている。

なんだ。この苦しみは。

『もう、おりおりドンキーしかいない。』

このような謎の声が彼の頭の中で、狂ったように、そして大量に流れる。

「きたな。何人で挑もうと私に勝てるわけがない。」

パンタインはいきなり日本刀を振り下ろす。おりおりドンキーは、その攻撃を間一髪避けたが、左腕をかすってしまった。そして。

ヒュルヒュル。ストン。

 

青ネクタイが切れ、床に落ちる。

ゴリブレの形見が。

そしてパンタインはそれを手に取り、力を吸収する。

パンタインの目が、赤く発光する。

パンタインが、吸収した青ネクタイの力で覚醒したのだ。

 

 

この瞬間。おりおりドンキーの中で何かが切れた。

許さない。

許せない。

よくもゴリブレを殺りやがって。

よくもゴリブレの形見を壊しやがって。

よくも佐藤を、ゴリドウを、そしてカンクンを殺りやがって。

よくも、よくも、よくもお"お"お"!

 

おりおりドンキーは、衝撃的なオーラを発生させる。

おりおりドンキー。これは覚醒ではない。

 

「暴走」。

 

怒りの感情を抑え切れず、野生本来の力を出し切る。

もちろん疲労することもない。

おりおりドンキーは、構える。両腕を前に出す形だ。

まさかこれで刀を受け止めるというのか。

答えは大正解。

 

次の瞬間。パンタインが電光石火の速度で日本刀を振り下ろしてくる。

おりおりは、それを素手で受け止めて見せた。

そしてその日本刀を、真っ二つにへし折る。

しかし、おりおりドンキーの両手の掌に、大きな切れ込みが入ってしまった。

だが、そんなことはお構いなし。おりおりドンキーが取り出した武器は生前、ゴリブレが使っていた短刀。

名刀「鹿苑」。

鹿苑を即座に構え、反撃する。

その一撃は、パンタインの顔面を掠めるが、捉えるまではいかなかった。

次の瞬間。パンタインが、道端に落ちている小さめの瓦礫を折って、ダブルナイフを作る。

まさか。あの時落とした「ぶきおり」の能力を持つ赤ネクタイ。その力を吸収されてしまった。

パンタインは、そのナイフを持ち、雷のような全撃をおりおりドンキーに叩き込む。

おりおりドンキーは避け切れないと判断し、中心を当てさせない事だけを意識した。

その一撃は、おりおりドンキーの左腕の上腕二頭筋腱を切り裂く。

(肘の内側を曲げて力を入れた状態で優しく触ってみて。そこにある固いやつ。)

この一撃で、おりおりドンキーの左腕はほとんど機能しなくなった。

おりおりドンキーは、覚悟を決めていた。

ゴリドウはもう絶対に助からないが、かろうじてまだ息はあるカンクンと、止血済みでもう少しは持ちそうな佐藤は伝説の「レジェンドバナナ」で作った薬を飲めば助かるかもしれない。

せめてこの2人を助けるため、差し違えてでもパンタインを撃破する。

おりおりドンキーは、この時既に「肉を切らせて骨を断つ」作戦しかないことを気づいていた。自分から攻撃をすれば、パンタインは避け方を覚えてしまうし、こちら側に隙ができてしまう。それは避けたかった。相手からの攻撃を受け流すかマシなところで受け、その隙に攻撃するしかない。

パンタインは、こちらに突進してくる。狙いはもちろん、心臓だ。

おりおりドンキーは攻撃を喰らう直前に、少し体を右にずらす。

「おらああああああ!」

グシャァ!

そのナイフは、おりおりドンキーの左脇腹に深々と突き刺さる。

だが。

「捕まえた」

パンタインは困惑する。ナイフが抜けない、おりおりドンキーは、力を込め、抜けようとするナイフを押さえていた。

大きな隙ができた。おりおりドンキーも、自分が刺された衝撃を利用し、全く同じ様に斬撃を入れる。

おりおりドンキーはパワーで言えばトップクラス。異常に固いパンタインの甲冑でも、フルパワーで刺せば貫通する。

「グハァ!」

パンタインも左脇腹に攻撃を喰らう。

「まだだ!」

今度は、おりおりドンキーの体を右下から左上に向かって切り裂く。

「うぉおお!」

だが、ここで諦めるわけにはいかない。

おりおりドンキーも、全く同じように切り裂く。

「ガハッ!」

パンタインは、体を切り裂かれ、血を吐く。

 

おりゃあああ!

パンタインが腹に突き立てたナイフ。

それも全く同じようにカウンターを仕掛ける。

 

両者ボロボロ、血まみれだ。

「ゼェ、ゼェ、これはヤバい。死ぬかもしれない。」

「ハァ、ハァ、まだまだだあ"あ"あ"あ"あ"!」

おりおりドンキーとパンタインが死闘を繰り広げる。

その時、パンタインがあることを思いつく。

 

 

続く。

 

次回予告

自分の仲間を、形見を傷つけられブチギレるおりおりドンキー。

それに対して、驚異的なひらめきをするパンタイン。

ピンチにさらされる、「The legendary banana hill」(伝説のバナナ丘)。

そして、死にかけの仲間たち。

 

カンクン、死ぬなァァァァァァァァ!」

 

次回

 

メインストーリー#4       おりおりbeast(ビースト)

サブストーリー#1       ゴリドウ、復活