長編小説 バナナキラーの企み

土日は4000〜5000字ほど 平日は暇な日に1000〜2000字ほど 週3程度で投稿予定。 大体70話程度の構想。

バナナキラーの企み#2 おりおり、悲しみの果てにて

 

(前回よりちょっと短いかな?五分の四くらいの長さ。)

 

 

 

おりおりは暗い空間の中に閉じこもっている。

自ら外界との接触を遮断しているのだ。

そうなってしまうのも当然だろう。

ゴリブレは自らの恩師であり先輩でもあり、何よりバナナキラー撃破の「アップジョイント作戦」にて

協力し合った人物である。アップジョイント作戦完了後にゴリブレととある約束もしていた。

その人物を失ってしまったのだ。おりおりは深い悲しみの中にいた。

 

しかし、行かなければならない。ゴリブレの仇を討つのだ。パンタインは爆発に巻き込まれ死亡したが、他のロオコポ軍幹部や兵士が生きている。そいつらを全て殲滅せねばならない。

深い悲しみに閉じこもるおりおりの、唯一の目標である。

絶対にあいつらだけは許さない。そう決めたんだ。

おりおりドンキーは立ち上がる。そして作戦部に戻る。

 

しかし本部の97%が爆発で蒸発したのだ。元あった作戦部はもう、無い。

残りの3%。それは...

 

 

 

 

 

そう、おりおり電気自動車。

本部直轄の電気自動車制作会社で、おりおり達戦闘員の武器作りや、武器、拠点の修理も請け負っていた。おりおり電気自動車の本社も爆発で蒸発してしまったが、幸い遠くに位置しているおりおり電気自動車カワムキタウン支部は助かった。それが3%だ。(一応本部所属である。)

おりおりドンキー達残された職員や戦闘員は、おりおり電気自動車に集まって作戦を立てる。

その時、おりおりドンキーは懐かしい声を聞いた。

「よう、おりおりじゃぁねぇか」

おりおりの先輩で幼馴染でもある、佐藤電気自動車電気自動車だ。

(佐藤電気自動車電気自動車)※会社勤務中はちゃんとした服装です


「さ、佐藤!」

「おう!」佐藤はいつも本部で働いているので、爆発に巻き込まれて死んでしまったと思い込んでいた。だが生きていた。おりおりは嬉しかった。だがゴリブレを失っている以上、素直に喜ぶことは出来なかった。

「今日から俺も戦闘員兼 武器開発職員兼 電気自動車会社副社長 として戦闘に参加することになった。よろしく。」

なんということだろう。新しい仲間が増えた。佐藤が魔改造している赤色のレーシングカーは、佐藤の天才的な操縦と合わさることにより脅威的な動きをする。これで敵を一網打尽できるに違いない。

「ありがとう。」ゴリブレが死んで3週間。おりおりは初めて笑った。

ゴリブレがいなくなった分の心の穴は埋められないが、佐藤と一緒なら、また前を向ける。そんな気がした。

 

「さあ、新しい仲間が増えたことですし、早速作戦会議を進めましょう!」

 

 

さて、ここで立案された作戦の内容を公開することとしよう。

内容は簡単。カワムキタウンに急設された仮設前哨基地にみんなで突っ込んで壊滅させ、資材を強奪する。なぜ資材を強奪する必要があるのか。なぜなれ本部は蒸発していて、武器だけではなく、それを作る資材すらないからだ。

そして作戦の決行日は、明日だ。

今ある武器は、佐藤のレーシングカー初号機、おりおりドンキーのダブルナイフ、カンクンのダイヤピッケル。そして武器と言えるかは分からないが、車の整備用の道具であるスパナやドリルだけだ。

おりおりドンキー達が使っている文房具武器は消えてしまった。そして、おりおりドンキーがいつも身につけていた紅蓮のネクタイもだ。脱出時に落としてきてしまったのだ。あれがなければ、ブキオリなどの力を発揮することができない。

しかしおりおりドンキーはいま、ゴリブレの形見である青のネクタイを左腕に巻き付けている。

ゴリブレの遺品を整理している時、ゴリブレが生前大事にしていた青いネクタイを発見する。

おりおりはそれを手に取る。その瞬間、何かがおりおりの体を温かく包み込む感覚がした。周りの人もその気配を感じ取った。きっとそのネクタイには、ゴリブレがおりおり達を思う気持ちが沢山詰まっていたのだろう。代表しおりおりがつけることになった。

おりおりも、これをつけていればゴリブレが自分を守ってくれる感じがした。

おりおりドンキーは左腕に巻き付けているそれに手を当てる。

そして手を離す。その時の顔は、ゴリブレの仇を討とうと堅く決意している顔だった。

 

 

その日の夜-作戦決行前夜、おりおりドンキー達は環境破壊監視本部の外泊施設だったカワムキタウン別荘棟に泊まっていた。

おりおりドンキー達はカンクンの部屋に集まっていた。

武器はほとんど何もないのだ。きっと多大な犠牲を払うことになるだろう。それはみんな理解していた。元から武器を使わず無双するのは、ゴリドウだけなのだ。

明日は自分が死ぬかもしれない、誰もがそう思い、死を覚悟していた。だが、誰一人と泣いたりする人はいなかった。ゴリブレは自分達を逃すため顔色ひとつ変えず死を覚悟したのだ。こんなことで泣いてはいられない。しばらくすると、その集会は解散された。おりおりドンキーは自分の部屋に戻り、電気を消した。月明かりが窓から差し込んでくる。その灯りは、今は亡き懐かしい人物の写真が入った額縁を照らしていた。

「ゴリブレさん...」

おりおりドンキーは思わず呟く。

彼は絶対なる復讐を心から決意し、眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

朝-作戦決行当日。

おりおりドンキー達はおりおり電気自動車前で集まっている。

みんな、ロオコポ軍への恨みを口にしたりお互いに(良い意味で)挑発し、士気を高めている。

もちろんおりおりドンキーもカンクンと作戦の最終確認をして待機している。

「決行の時まで、あと2時間。ロオコポ軍にコチラの動きが読まれてなければいいウホけど...」

「そうだね...」

おりおりドンキーは、カンクンと話をしつつ自分の唯一の武器、ダブルナイフを研いでいる。(2挺で1セットなので、ここでは唯一と記した。2本バラバラになってるタイプのやつ。)

カンクンもダイヤモンドピッケルの素振りをして直前まで備えている。

おりおりドンキーのダブルナイフは、前覚醒した時に「ぶきおり」で作り出した最高傑作の武器だ。しかしおりおりドンキーは、まだこの武器を使いこなせていない。おりおりドンキーは、正直不安だった。しかし、そのたび腕のネクタイが励ましてくれているような感覚を受け取った。やはりゴリブレの意志が込められているのだろう。

その時、上空から大量の謎の物体が降ってきた。

よく見ると、それは焼夷弾だった。(東京大空襲などでも使われたほど。かなりの高火力)

「まずい!焼夷弾が降ってきたぞ!おりおり電気自動車に引火したら一巻の終わりだぞ!」

職員のうち1人が叫び、大パニックが起こる。

その時、おりおりドンキーは心臓に違和感を感じた。

この感覚、前にも...そう、覚醒時だ。

ふと腕に目をやる。青いネクタイが神秘的なオーラで包まれている。

もしかして。おりおりドンキーは心の中で強く念じる。

(仲間を...拠点を...守るんだ!力を貸して!)

次の瞬間、おりおりドンキーの体から青いオーラが出て、目が赤く発光していた。

そして体が軽く、何より力が湧いてくる。

(ダブルナイフ覚醒おりおりドンキー)


「ありがとう。ゴリブレさん。」

おりおりドンキーは、覚醒を自分の意志で操れるようになった。もちろん青いネクタイの力だが。

おりおりドンキーは跳ね上がる。そのジャンプで、20m いや30mは飛んだだろうか。頭上を飛んでいたロオコポ軍巨大戦艦をたったの一撃で叩き落とす。下には大切な仲間達がいる。もちろん落とすわけにはいかない。おりおりドンキーはものすごい勢いで落下し、地面と衝突する。しかし無傷。それどころかおりおりドンキーの闘気はますます上がっている。

「うおおおおおおおおおおお!」

上から落ちてくる巨大戦艦に向けて再びジャンプ。ダブルナイフを使い、巨大戦艦のコア、エネルギー資源庫を貫通する。その瞬間、巨大戦艦は空中で大爆発をする。

おりおりドンキーは、瞬間移動にも見えるものすごいスピードで空中を移動し回り、落下中の焼夷弾や戦艦の瓦礫を回収する。

回収し終わったらそのゴミ達をすごいパワーで押しつぶす。

 

勝負はついた。圧倒的だった。覚醒おりおりが一方的に敵を撃破した。

おりおりドンキーは覚醒を解除し、地面に横たわる。一時的に体のリミッターを外し、筋肉の最高出力を叩きつける、それが覚醒。長くは持たず、解除後にはものすごい疲労が襲ってくる。おりおりドンキーは動けなくなってしまった。

佐藤は言う。「おりおりドンキー、よくやってくれた。あとは俺たちに任せておいてしっかり休んでろ。」

疲れすぎた。佐藤からの労いの言葉を受け安心したのか、おりおりドンキーはその場で寝てしまった。被害は、0だ。

 

「さあ、あいつらから大量の資材を強奪するぞ!」

「おー!」

 

「奪うぜ資材!あいつら死罪!そして稼ぐぜ私財!」

誰かが言った氷河期が来そうなギャグは、誰一人と反応する人はいなかった。

 

 

戦場となる奴等に基地についてからは一瞬だった。

佐藤の天才的な運転技術と魔改造された車。

(車の上に乗ったままどうやって運転しているのかは不明。

跳ね上がる車体。

急な方向転換。

爆発的な加速。

車体から噴き出す炎。

どれも相手からしてみれば恐怖そのものだろう。しかし本当の恐怖をまだ知らないだろう。

「へへ。俺の相棒の冷蔵庫冷蔵庫をもう一つの相棒、この車と合体させてみたんだぜ?」

冷蔵庫冷蔵庫は中サイズロボット。そのギミックを組み込んだ?と言うことは...!

佐藤がボタンを押す。

「ガシャガシャ! キューガン! プシュー」

次の瞬間、そこにあったのは赤い車の車体で構成されている、巨大ロボットだ。

変形ロボカー佐藤

 

「え?」

「あれぇ?」

敵兵達は、困惑していく。

こんなはずじゃなかったと言う顔だ。それでも諦めず攻撃しようと試みる者もいた。

しかし、それがロボカーを傷つけることはなかった。ロボカーが左手に持っているミラーシールド。これは受けた攻撃を全て反射する。そして反射した攻撃は、何倍もの威力に跳ね上がる。

「うわ!」その場にいた敵兵達は、反射したエネルギー弾に弾き飛ばされてしまった。

しかし、次の瞬間。予想だにしなかったことが起こる。

なんと、ミラーシールドが破壊されたのだ。ミラーシールドの弱点、それは横方向からの攻撃に対応できないことだ。

「へへへ。かかったな?」

横を振り向く佐藤とそのほかの戦闘員。そこには、爆風に巻き込まれて死んだはずのパンタインが銃を構えて立っていた。

その時ちょうど、おりおりドンキーの手当てを見届けたゴリラの極道、ゴリドウが到着する。

「おいおい!どうなってんじゃぁこれわぁ!」(あえてはをわと書いた)

ゴリドウは拳をかまえ、すぐさま戦闘体制に移行する。

 

続く

次回

 

パンタイン vs 佐藤&ゴリドウ

何度も死の淵まで追い詰めたが生きていたパンタイン。

両者本気のぶつかり合い。

決着は、どちらかの''死''のみ。

 

「おりゃあああ!そろそろ死ね!ゴリドウ!」

 

次回、パンタインの本気