長編小説 バナナキラーの企み

土日は4000〜5000字ほど 平日は暇な日に1000〜2000字ほど 週3程度で投稿予定。 大体70話程度の構想。

バナナキラーの企み#1 「本部襲撃」

あるところに、おりおりドンキーという、1匹のゴリラがいた。

そのゴリラは、「おりおり族」と言う種族に属している。

名前の通り、ドンキーコングが印刷されたプリントを折り畳んで、偶然誕生したキャラだ。

「おりドン」という異名が付いている。正確にはゴリラではない。

おりおり属は、おりドン含めてバナナが大好きである。だが近年、そのバナナを収穫するため

の畑を荒らす者が段々と増えてきた。その者どもを懲らしめるために設置されたのが、環境破

壊監視本部(またの名を環境破壊対策本部)と言われる組織だ。

そこに属しているのは、おりドンはもちろんのことおりドンの友達で空き缶のカンクンや、ゴ

リラの極道であるゴリドウなど様々な猛者が属している。

最近はこの組織のおかげか、バナナ畑が荒らされることは少なくなってきていて、おりおり国

は今日も平和である。

この物語は、そんなおりおり国で起こった壮絶な戦いの記録を短くまとめたものである。

平和な世界は、たった1回の襲撃で完全に変わってしまう。

(多分70話くらいで完結する)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーピー!ブーブー!ピロピロピロピロ!

 

環破監本部に、複数の大きなブザーの音が鳴り響く。

「何者かの気配を感知!」

「襲撃箇所とのコンタクトを取ります!」

「周辺箇所の封鎖を行います!」

「バナナ畑カワムキタウン支部、何者かに襲撃されています!」

「なんだぁ!誰だぁ?」

「完全に不明です!監視カメラ全てが何者かに妨害されています!」

「チッ やられたかッ」

「おい!そこに戦闘職員はいるのか?」

「いません!ですが近くに、戦えそうな職員が2人います!

 

おりおりドンキーとカンクンです!」

 

「何?今すぐ2人に連絡を取れ!至急出動だ!」

「分かりました!」

「今回の襲撃は大規模な襲撃だ!念のため他の戦闘員も派遣しろ!」

「分かりました!」

 

 

 

 

 

その頃おりおりドンキー達は

「ん?あっちの方から叫び声が聞こえるウホ!」

「またキンニクツーさんが大暴れしてるんじゃないか?」

「どうだろう?なんだか胸騒ぎがするウホ」

プルルルルル

2人の無線通信機が同時に起動する。

え?何があったウホ?

 

 

 

「おりおりドンキーとカンクン!今すぐ ザー バナナ畑カワムキタウン支部に ザー 向かって!何者かの襲撃を受けているの! ザーザー あ!

 

ゴトン!(本部の通信装置が落ちる音)

 

   本部、襲撃 ザー ています! 爆弾が投下 ザー れ、半壊です! ザーザーザー

ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

プープープー

 

「え?」

「今の電話、聞いたウホ?」

「聞いたよ!」

「まさかあの音は!」

おりおりドンキーは音がした方向、山ひとつ超えたカワムキタウンの方へ走って向かう。

「ちょっと〜!」

少し遅れてカンクンも走り出す。

 

 

その頃環破監本部は

ピーピーガーガー!ブーブー!プァプァプァプァ!

複数のブザーは、鳴り止むどころかさらにけたたましくなり続く。

時々爆破音のような音や、本部の一部が崩落するガガガガという音も聞こえる。

「主要電源が緊急停止!サブ電源に切り替えます!」

「だめだ!サブ電源も破壊が進んでる!」

「後は司令室地下にある非常用電源兼発電装置に繋ぐしかない!」

「非常用電源は少ししかない!メインシステムコンピューターの保持に使え!」

「分かりました!保持に回します!」

「電源が切れると司令室が地下8-5まで降下するぞ!体制を整えろ!」

ピピピピ!

ブザーは一段と強くなる。

「対ショック体制ー!!!」

司令室管理職員の内の一人がそう叫んだ次の瞬間!ガクン!という音と共に電気が切れ、光はメインシステムのうっすらとした赤い灯りのみになった。と同時に司令室がまるで糸が切れたかのように落下していく。

「もうだめだ〜!」

「まだ諦めるんじゃぁない!」

どおおおおおおおおおおおおん!

「みんな無事か?」

重症で、動けない人は何人もいたが、幸い死者は出なかった。

''この衝撃では''死者は出なかった、

「かかったな?」

敵軍の兵士が銃や槍、剣を構えて待っている。その奥に、緑ががった黄土色の装甲と甲冑を身につけ、長い槍と剣が合体したような武器を持つ周りよりひときわ強そうな兵士がいる。どうやらロオコポ軍の兵士達と武闘派幹部のパンタインと思われる。大体300人はいるだろうか。

これには長年、本部ができる前の前身的組織、環境保護部隊のリーダーを務めてきた現トップのゴリブレインも驚きを隠せない。

ゴリブレインは言う。

「戦闘員、非戦闘員関わらず敵軍への無条件発砲を許可する! 総員俺の後ろに隠れろ!」

「でもゴリブレさん!そんなことしたら!」

「なぁに、俺も戦闘員元最高戦力。銃弾の数発なんて余裕さ」

早速ゴリブレインは数発の弾丸を喰らう。

「ゴリブレさん!」

「全くノーダメージ、まだまだいけるぞ」

そう言うゴリブレだが、苦しそうな表情を浮かべている。

最高峰の戦闘と最高峰の頭脳を持ち合わせるゴリブレイン。それを生かして司令室で最善の判断を下し続けてきたゴリブレ。しかし、今回ばかりは管理職員の言うことが正しい。ゴリブレが死ねば、環境破壊監視グループ全体の弱体化につながる。判断、戦闘力の大きな低下、本部陥没に加え、流れに乗った周辺にいる複数の中小規模武闘派荒らし組織も攻撃に参加することになる。

 

ぱん!ぱんぱん!

ゴリブレはさらに複数の鉛玉を腹に打ち込まれていく。鉛玉が肉を裂き、骨を砕くのだ。

その瞬間!「お前ら、俺が合図したらみんな一斉にこの部屋の隅に移動してそこにあるスイッチを押せ。」そういったゴリブレは、何かを固く決意したような表情を浮かべている。

管理職員達は、皆反対する。しかしゴリブレは

「これは命令じゃあ!はようせんか!」

「ゴリブレさん!」職員のうちの一人がそう言うと、皆んなで駆けていく。歩けないものを背負って歩く者もいる。

「行かせねぇよ!」敵軍戦闘員は逃げていくゴリブレ以外の職員たちに発砲する。

しかしその瞬間、間にゴリブレが入り込む。「ごはぁ!」

ゴリブレは血を吐いた。誰がみても、もう彼の命は消えかかっている。

職員達は皆涙を流している。自分達の命を守るために、自分の身を犠牲にしようとしている事はわかっていた。彼の口癖を思い出す。「ワシはのような老いぼれが生き残るくらいだったらみんなを守って代わりに死んだ方がいいな」非常事態対策訓練をするたび、そういっていた。

悲しみを堪えつつ、職員のうちの一人がボタンを押す。

「緊急脱出装置、起動します。」「自動自爆装置、カウントダウン開始、残り10分。」

自爆装置が起動し、今までで聞いた事ないようなとても大きい音が鳴る。

職員達のいる床が球体に包まれ、急速に飛んでいく。

残されたのは、ゴリブレとロオコポ軍兵士達だけだ。

「にげろ!自爆するぞ!」

敵兵が1人がそう叫び、一斉に逃げ出そうとする。

「お前ら、にがさ、ねぇ。おりおり達、いじめた罪、そしてバナナを、奪った罪、償わせる」

ゴリブレはそういい、パンチを繰り出す。敵兵はそれを避ける。

 

(ゴリラバグ大学などで取り扱っているストーリーの1年後のストーリー。内容は言わないが、パンタインを死ぬギリギリまで追い詰め、生き残っていた。今回は報復のためやってきたと推測される、)

「バァーカ!そんな遅い攻撃、あたらねぇよ!」

「狙いはそれじゃねぇよボケ」

脱出扉のハッチが破壊され、脱出が不可能になった。

自分を犠牲にして、300人以上の兵士とパンタインを一斉に滅ぼそうと思っているらしい。

 

「ゴリラ旋風!」ゴワゴワゴワゴワ!

自らの体を回転させ手を打ち付ける、ゴリブレ現役時代のメインウエポンだ。

次々と兵士が倒れていく。

しかしご老体の上、数十発の銃弾を受けている体のため、すぐに回転が緩んでしまった。

「えーい!スキアリィ!」

グシャグシャ!

「グぁぁぁぁ!」

敵兵が、回転の勢いを逆に利用し、一瞬にしてゴリブレの両腕を切断してしまった!

「うぉ!」切り落とされた腕につまずき、ゴリブレは転ぶ。

「お前の首を取りに来たんだよぉ〜w」

笑いながらそういった敵兵がなたを首に振り下ろす。

ゴリブレは、間一髪でそれを避ける。

そして一瞬のうちに立ち上がる。

「へへへ...もう俺も終わりか。ま、どっちにしても後10分の命だ。」

さっきも記したが、敵を逃がさないため内部ハッチとロックを破壊したため、外側しか開かなくなっている。そして外側は完全に包囲されている。

「アト1プンでジバクプログラムサドウシマス。」

お、もう1分か。頑張ったよ、俺。

ゴリブレの頭に、数々の記憶がよぎる。子供の頃の楽しかった記憶、社会人になって苦労した数々の記憶、先輩に戦闘員としての才能を見出してもらい活躍した日々。そして大切な仲間たち。

ゴリブレは倒れる。血を流しすぎた、

「あ、あ。おりおりドンキー、カン、クン。お前たちが、立派な幹部になって活躍するとこ、見届け、た、かった...」バタン

 

ゴリブレの頭に懐かしい声が響く。

『ゴリブレさん!』『ゴリブレ先輩!』

おりおりたちの声だ。ついに幻聴が聞こえてきた。

ゴリブレは、もう自分にお迎えが来たことを悟る。

急激に力が抜けていく。

「アト10ビョウデバクハツシマス。」

敵兵達は大混乱。

そしてゴリブレは、意識を失っていく。最後に聞こえたのは、おりおり達から呼びかけられる幻聴。

 

 

幻聴?

 

 

 

いや、これは本当に幻聴か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンドン!バーン!

 

何かの爆音が聞こえる。

その瞬間、扉が開く。おおおおお!ゴリブレさん!

おりおりドンキー!おりおりドンキーがやってきたのだ!

実はカワムキタウン支部の荒らしを片付けた後、支部まで戻ってきたのだ。

戦闘員全員が止める中、おりおりは一人勇敢に入り込んでいく。

「おおおお!」おりおりは敵兵を生きたまま折って、ジャンプ台を作り、ゴリブレと落とされた腕を担ぐ。

「ゴリブレさあああん!もう少し!もうすこしですからぁ!死なないでくださいいいい!」

泣きながらおりおりドンキーはジャンプし、一気に地上までいく。

「私も行かせろ」パンタインも後に続く。その瞬間!

「自爆作動」

 

ヒュッ

ぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!

 

本部が大きく爆発する。

外で待っていた戦闘員達や職員計1000人ほどが息を呑む。

もう終わった。友人のカンクンは地面に顔を擦り付けて大号泣している。

「おりおりいいいい!バナナキラーにとどめを刺した時、ずっと一緒に平和を守ろうっていってたじゃないかぁ!なんでぇ!なんでだよぉ!」

みんなも同じような気持ちでいっぱいだった。もうおりおりドンキーとゴリブレは助からない。そう思っていた。しかし、爆発でできた大きな雲の中から、影が見える。

おりおりだ。おりおりがゴリブレを担いで走ってくる。おりおりのほんの後ろには爆風と熱風の第2波が迫っていた。一瞬でも遅れていたら命は無かっただろう。

みんなは喜んで大歓迎した。しかし、おりおりが担いでいるその者、いや物を見た瞬間、その笑顔は消えた。なぜ物と表現したのか。

 

なぜならもう既に、ゴリブレは息を引き取っていた。

「ゴリブレさああああああああん!」

「うおおおおおおおゴリブレ先輩いいいいい!」

「そんなああああああああああ!」

「ロオコポ軍の野郎!絶対にゆるさないいいいいいい!」

みんな口々にゴリブレの死に対する悲しみとロオコポ軍への怒りを放っていく。

 

 

 

本部襲撃、そしてゴリブレが命を落としてから3週間が経った。

再結成したロオコポ軍に報復し、壊滅させるための準備を進めていた。

また、環境破壊監視本部が所属している「世界ゴリラ平和連合」の非常事態マニュアルに従い、一時的にゴリ連の指揮権を獲得し、組織名を「ゴリ連直轄対バナナキラー軍事部隊」に改めた。

続く。

 

次回予告

最高の頭脳を失ったおりおり達。

ロオコポ軍を壊滅させるため、今再び立ち上がる。

そして、作戦が決行される。

 

 

次回、バナナキラーの企み#2、「おりおり、悲しみの果てにて」

お楽しみに!